こんにちは、如月翔也(@showya_kiss)です。
今日は今流行りの「嘘医学」「ニセ医学」「エセ医学」について、テレビで盛んに宣伝されている「宿便」をベースにお話しようと思います。
宿便ってなんだ
端的に言うと、医学的には「宿便」なんてものはないです。臨床的には寝たきりの人や酷い重度の便秘の人の便を「宿便」という場合がありますが、嘘医学で言われている宿便とは明らかに性質が異なるものです。
まあ宣伝によると「腸内にこびりついて太る原因になったり腸内環境を悪化させたりする悪役で、薬を使って大量に宿便を出すと体重も減り痩せる体質になり腸内環境も良くなる」のだそうです。
ただ、それって結局ただの便秘なんですよね。便秘で体内に便が溜まっている分下剤で全部出せば出ていった便と水分で多少なりとも体重は落ちる。以上。に過ぎないんです。
なぜそう言えるかについて説明していきますね。
本当に宿便があると仮定するなら
本当に宿便があると仮定するなら「体重は落ちる」んですよ。腸にこびりついて腸の機能を阻害するといいますが、本当にこびりついて腸の機能を阻害するのであれば、それによって新しく食べたものの吸収が阻害され、結果的に栄養が足りなくなって体重が減らないと道理が通らないんですよ。
そもそも腸は粘膜で保護されており、粘膜って徐々に動くので、本当にこびりついたとしても徐々に肛門に向かって押し出されていくはずなんです。
大腸カメラってあるでしょう?
あと、考えてもらえばわかるんですが、大腸カメラ入れる時って「モビプレップ」っていう飲み薬を飲んで、おしりからオシッコのような腸液の混じった透明な物が出るまで全部出して、そして大腸カメラを入れるんですね。そして、その大腸カメラにおいて「宿便」なんて見られた事実はないんですよ(調べた限りの医学情報では)。
大腸カメラ入れた時に腸の中に便が残っていたら大騒ぎですよ。便がない事を前提に作られた機械で便がない事を前提にしている検査なんですから。
結論
従って、「宿便」なんてものはないです。薬を飲んで明らかに脂肪を含んだ大量の便が出た場合、食物繊維などに由来するゲル状のものがそう見えただけで、出てきたのはただの便秘の便です。従ってそれを出しても痩せ体質にはなりませんし、腸内環境も良くなりません。
それを出すために高いお金を出す必要はありません。あなたに必要なのは便秘外来と、あと水分を多めにとってちょっと運動をし、規則正しい生活をしつつ乳酸菌をとる事です。
これら全部やってもあなたが買っているサプリメント(宿便などというものはないので、それに対する医薬品も存在しません。故にサプリメントでしか出せないのです)よりも安いので、くだらない商品にお金を出している余裕があるなら病院行って水飲んで運動して下さい。
なぜ「宿便」がこんなに認知されたか
なぜこんな医学的にでたらめな「宿便」がこんなに認知されたかと言うと、主要メディアであるテレビ・ラジオ・新聞、そしてサブメディアであるネットの「広告」のシステムの悪さに原因があります。
今のメディアは商業主義に走っており、儲かれば多少の「医学的に正しくない」ことでも、「医薬品を売っているわけではない」「売っているのはあくまでサプリメントである」という建付けで、内容が医学的に正しくないのを指摘せずに宣伝に載せてしまうのです。
そのためにこんな馬鹿げた嘘情報が氾濫するのです。これはメディアの責任です。
民主主義における「知る権利」を担保する報道の死
こういう嘘医学・ニセ医学・エセ医学を「スポンサーだから」というだけの理由でのさばらせるテレビ局は「公平な報道」ではなく商業主義に走って「視聴者に正しい情報を届ける」という崇高な使命を忘れており、少なくとも正しい意味での報道機関であるとは言えません。
そういう意味で今の民放は民主主義における報道の死を体現していると思っていて、免許制なのでそろそろ一番悪質なメディアから免許を剥奪して新興メディアに免許を渡すくらいの大改革をすべきだと僕は思っているんですよ。免許制って「剥奪できる」から免許制の意味があるので、ここまで剥奪がなかった事自体が免許制が形骸化している証拠だと思うんですよね。まあ政治家がそれを公約に挙げたら全部のメディアが揃って叩くので落選し、結局免許制度はアンタッチャブルになるとは思うんですが。
商業主義に走って嘘医学・ニセ医学・エセ医学を垂れ流す報道のどこに「国民の知る権利」を担保できるというのか。むしろこれらを流している以上、「国民に偏向した情報を与えて何らかの方向性に誘導しようとしている」と捉えられて仕方ない行為ですし、だからこそ今メディアの権威が失墜している事に気づいていないのが痛すぎですね。
まあネットも変わんないですけどね
まあネットも結局宿便の宣伝が流れてくるんですが、ネットって「嘘が流れるから自衛せよ」っていう大前提があるので大分違うんですよ。
ただ、テレビやラジオや新聞は「公共」で「免許制」なので信頼性があると思う人が一定数いて、それでころりと騙され、そして騙して巻き上げたお金でメディアに宣伝を打つという悪循環が形成されるので、僕らは「それは嘘だろう」というのをテレビやラジオや新聞に対してもスタンスとして持たないといけないんです。
本当に、そういう意味で、日本の報道って「考えて」見ないと駄目ですね。
この記事を書いた人 Wrote this article
如月翔也
ガジェットとAppleとTRPGが大好きな中年男です。文章をとにかく書くのが好きなので毎日のように色々なブログで文章を打ちまくっています。もし何か心に引っかかるものがあれば私のTwitterをフォローして頂けると更新情報が流れます。