こんにちは、如月翔也(@showya_kiss)です。
今日は下手したらブログどころか紹介するTwitterすら大炎上しかねない内容を扱うのでできるだけ丁寧に行きたいと思うんですが、危険なのでちょっと意識しながら行きたいと思います。
今回は生成AI、特に画像を出力するAIについての僕の考えです。
生成AIとは何か
生成AIとは、要するに多種多様なデータを食わせて特徴を分析し、その分析したデータをもとにユーザーから指示された内容に合致する生成物を作成するAIを指します。
今回取り上げる内容としてはグラフィックを出力するAIについてなんですが、本質的な問題は「生成AIは善か悪か」「使うのはどこまで許されるのか」「一切許されない場合の問題点」という部分を考えていきたいと思います。
生成AIは善か悪か
生成AIは技術なので善も悪もありません。使い方に善悪があるだけで、ナイフでは人を殺せますが林檎の皮も剥けます。前者の使い方をするのはユーザーが悪で、後者の使い方をするのはユーザーが善です。
あくまで生成AIはツールなのでそれ自体に善悪はなく、使うユーザーの使い方に善悪というか、是非があるのです。
使うのはどこまで許されるのか
生成AIを使うのはどこまで許されるのか、というと、これは難しい問題です。
例えばプログラミングで「こういう機能を実装したいんだよね」という時に生成AIでコードを吐かせるのは日常的に行われています。しかし、これは特に問題にはなりません(そのまま貼り付けて納品してエラーが出たら問題ですが)。なぜかと言うと、この場合生成AIはネットで公開されている特に制限されていないコードから情報を集めてきて分析した上で適切なコードを返すからです。
この場合、ネットにあるコードは公開情報なのであくまでユーザーが個人で使う分には個人的な私的利用の範囲内とみなせるので、個人で使う分には文句の付け所がありません。
また、テンプレ文章作成AIについても同じ事が言えて、公開情報であるテンプレ文章から学習して分析の上適切な回答を返すわけです。
ここで重要なポイントがあるのですが、「学習」についてです。
これをグラフィックに置き換えると、Webで公開されているグラフィックを分析・学習の上特徴を分析して何らかの出力をするとして、問題になるのは「感情」です。
「学習」については、例えば素人の駆け出しの絵描きさんが線を勉強するために人の絵を自分のPCにコピーしてきてレイヤを載せてなぞり、線を勉強するのは「完全にセーフ」です。ここはアグリーですよね?
そして、生成AIはそれを機械がやっているだけなのです。練習を内部で繰り返し一瞬で上手くなるだけで、やっている事は絵柄を「盗む」のではなく「学習する」なのです。
人間はオーケーだけど機械はアウト、というのは筋が通らないので、ここが引っかかる人は「感情」の問題なんですよね。自分の何千時間もかけて培ってきた技術を一瞬で学習される事に対する拒絶感が大きいのだと思います。
しかし、同じように数千時間かけてあなたの絵柄を勉強して絵を描く人が出てきた場合、それは認められる存在ではないですか?田中圭一さんは存在が許されませんか(手塚るみ子さん以外に問うています)?
それが時間短縮、かつ機械になった瞬間にアウトと言いだすのはダブルスタンダードと言うか、機械差別だと言えます。
生成AIが一切許されない場合の問題点
筋を別として生成AIは気持ちが悪いので規制しましょう、規制しました、となった時、恐らくなんですが、今お絵かきをしている人達に物凄い影響が出るんですよね。
何かというと、例えば「集中線ツール」、これ根っこは生成AIです。色々な漫画・表現から学習したデータをもとに集中線を書くので、厳密に言うとこれは禁止ツールになり得ます。
例えばスクリーントーンツール。これについてもユーザーから学習したデータを元に生成しているスクリーントーンを使うツールなので、これも厳密にはアウトです。
というか、今「生成AI」と名前がついて勢いがあるために目立っているのですが、私達は「マシンラーニング」という名前で生成AIの恩恵をすでに受けているのです。
これらを一気に禁止するのはかなりキツいインパクトがあると思います。
生成AIで禁止されるのは絵だけなのか?
そしてここも問題なのですが、生成AIで「絵」を制限する場合、それだけを制限する方便がないので、「生成AI全般」を制限せざるを得ません。
そうなった時、例えばChatGPTもアウトになりますし、文章作成支援ツール、音響作成支援ツール、様々なツールが芋づる式に禁止になり、最悪10年前のPhotoShopに戻らざるを得ない可能性が出てくるのです。
絵、CGというのは特別なスキルで体得するためには長い修業が必要で、修行してもモノにならない人が大勢いる凄いスキルなんですが、だからこそ逆に生成AIが求められますし、それは音楽でも文章作成でも同じなんですよね。
素晴らしいスキルを持っている人は「盗まれる」事を恐れるのは当然だとは思うのですが、それを「公開」した時点で(少なくとも個人レベルにおいては)学習対象になるのは仕方がない部分なんですよ。
一切の学習を禁ずる、という事はできないので(犯罪でない限り人の行動は止められないですからね)、個人が学習するのはセーフ、ではなぜ機械が学習してはいけないのか、絵描きさんはマシンラーニングの結果であるツールを使いこなしてCGを描いていますがそれはダブスタでは?という問題に帰結するのです。
難しい問題なんですよね
結局、「この人のスカートの書き方綺麗だな、真似したいな」という人と、「AIにこの人のスカートの書き方を学習させよう」はかなりの近似値にありますし、手を動かして真似するのはオーケー、しかし機械は許さん、となると機械ヘイトになりますし、そう言っている貴方がドッターでもない限りはなんらかのAIもしくはマシンラーニングを用いたツールを使っているはずなので、反対を表明した時点でダブスタなんですよね。
ただ、AI学習禁止を明言しているあなたの絵を学習した生成AIが有料で絵を作った場合取り分を要求する(「私の技術の一部分を勝手に使っている」という趣旨で)事は筋が通るので、そこを攻めるのしかないのかなぁ、と思います。
ただですね、インターネット老人会の会員としては、インターネットって基本的には「こういうの作りました。自由に使って下さい」と言って公開する(もし有料にしたいなら有料のシステムを自分で作る)という趣旨で出来ていて、自由に使われたくなければネットに載せるな、が基本中の基本だったので、今の「自由に使われない権利」というのには僕はなかなか慣れないと言うか、使われたくなければしまっておけ、という感想しかないので、結構シビアな意見になっていると思うのでその点は申し訳ないです。
この記事を書いた人 Wrote this article
如月翔也
ガジェットとAppleとTRPGが大好きな中年男です。文章をとにかく書くのが好きなので毎日のように色々なブログで文章を打ちまくっています。もし何か心に引っかかるものがあれば私のTwitterをフォローして頂けると更新情報が流れます。